2005年05月18日 04:32

ロイターCMOが語る出版社にとってのWebシンディケーション【Syndicateレポート】

Syndicate 2005・初日2人目の基調講演は、ロイター通信社のCMO、アレックス・ハンゲート。ロイターと言えば世界を代表するニュース配信「シンディケーション」企業なわけですが、ロイターのWEB部門でなく、CMO(Chief Marketing officer)、つまりマーケティング部門のトップが話すと言うのがRSSの重要性の高さを感じさせます。

講演タイトルは「The New Web Syndication Experience and Opportunities for Publishers」。直訳すると「出版社にとっての新しいウェブシンディケーション体験とその機会」。アレックス氏いわく、ロイターは1000人以上のジャーナリスト(正確な数字メモれず)を持ち自ら情報コンテンツを作成するパブリッシャーでもあり、新規事業で先日紹介したFactivaを立ち上げ、情報のアグリゲーション&配信サービスも行うアグリゲーターでもある。両方の視点からRSSビジネスの全体像を語りたいとのこと。


要点が整理され有益な話でしたがとても書ききれないので、下記にポイントだけまとめたいと思います:


1997年にネットスケープがRSSを提唱してから大分時間が立つがやっと最近RSSが本格的に注目されている。理由は大きく分けて2つと考えている。1つ目は、インターネット・ブロードバンドの普及などテクノロジーの進化。2つ目はブログの影響が最も大きいがネット上のコンテンツ量が飛躍的に増大し、質の高いコンテンツも数多く増えている。RSSで情報を受け取る意味が出てきた。


アレックス氏が強調していたのが「RSSは消費者ニーズをベースに考えるべき」と言う点。消費者ニーズとRSSを考える際のポイントを5つ上げてくれました。


1. EASY
2. PROMISCUOUS
3. PAY AS YOU WANT
4. MULTIMEDIA
5, SKEPTICAL


1. EASY
消費者がRSSフィードをRSSリーダーに登録するだけで簡単に最新ニュースが読める、と言うRSSの利便性。


2. PROMISCUOUS
消費者が自由に受け取る情報を選択できる。従来の情報発信側が情報発信を通じて読者を獲得していく、と言う「OWN CONSUMERS」と言う考えは通用しない。消費者は自由に好きな情報を選択し、独自に整理して受信する。これを理解した上で情報発信する必要がある。
※「PROMISCUOUS」(プロミスキュアス)日本語で言うと「無差別」でしたっけ。


3. PAY AS YOU WANT
RSSによる新たな収益モデルができる。RSSフィードを有料配信することも可能、広告付きで無料配信することも可能。読者層が大きい場合は、広告付きで無料の方がいいかもしれないし、読者層が狭くそもそも広告を取るのが難しい場合は内容を濃くして有料配信がいいかもしれない。


4. MULTIMEDIA
現状のテキストベースだけのRSSでは絶対に消費者は満足しない。画像、映像、音(すでにポッドキャスティングで始まっているが)などもRSSに統合されていかなければRSSは消費者ニーズに答えきれずメインストリームになれない。


5, SKEPTICAL
情報発信社から発信される情報に対して消費者はより懐疑的になっている。誰でもブログなどで情報発信でき、情報量が増えていると言うこともあるが、同時にあるニュース情報に対して皆が意見を発信することができ、大手メディアが発信する情報を鵜呑みにしてもらえる時代ではない。


上記視点を考慮してRSSを考える必要があると説明。続いて、RSSの課題とチャンスを解説してくれました。


■RSSの課題


1. MEASUREMENT
測定が必要。現状のRSSは効果測定が難しい。


2. SEO
RSS情報配信とSEO対策を連動させられるか。
※ロイターのCMOがSEOの話をするのがSEO会社を運営している僕もちょっとびっくり。そこまで重要と言うことですかね。


3. USER EXPERIENCE
RSSを受信するアプリケーションや形式などまだスタンダードが無い。


4. DIRECT MARKETING
ユーザー個々のニーズにあったパーソナライズドされたRSSの配信など。


5. QUALITY CONTROL
RSSの配信量が増えてこれば、Web検索と同じように、表示順などの品質管理が必要になる。Googleが最近、情報発信者の信頼性で情報の価値を決めるアルゴリズムの特許を取得したが、RSSにも利用できるだろう。


6. BANDWIDTH OPTIMIZATION
RSSによるネット上のトラフィックが増大している。RSS配信側にも大きな課題となってくる。


■RSSのチャンス


1. MULTIMEDIA
マルチメディアRSSには大きなチャンスがある。
※ロイターと言うとテキスト&写真ベースの情報配信会社と言うイメージがあったのですが映像含めたマルチメディアRSSの可能性を強く説いていました。例として東南アジアの津波被害を上げ、映像が無ければあそこまで津波の被害は世界に伝わらなかっただろう、と言っていました。確かに。


2. NEW DEVICES
WEBベースだけでなく携帯・PDAなど様々なデバイスにRSSベースで情報を配信していけるはず。


最後に「課題とチャンスを理解した上で、RSS配信に取り組んでいくことが大切。RSSの可能性は非常に大きく取り組んでいく価値はある。」とまとめてくれました。


ポイントだけさっと紹介しましたが、流石にロイターのCMOだけあってか?良くまとまった内容でした。僕自身もRSSビジネスを考える上で頭の整理ができました。ビジネスモデル構築のヒントになる要素がいっぱい詰まっていたようにも思えます。

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